自己免疫疾患「甲状腺機能亢進症」
妊娠中の検査で発見された異常
私は20代に一度「甲状腺機能亢進症」と診断され、投薬治療をしていたことがあります。
一番症状が強く出ていたのが妊娠中、お腹が大きくなってきてからのことでした。横になって休んでいると身体の芯がプルンプルンと震えるような感覚が出てきました。一体何なんだろう…と思いながらも、妊娠中に起こる症状かな…くらいにしかとらえずに放っておいていました。それが妊婦検診で受けた血液検査で、甲状腺の異常を指摘されたのです。先生からは「妊娠中は症状が強く出ることはないので、とりあえず出産が終わって3ヶ月くらい母乳をあげた後から治療を始めましょう。」という説明がありました。
その後、投薬治療を開始し、その時は1年位で薬を手放すことが出来ました。
治療途中は何度かアレルギー反応で蕁麻疹の様な発疹が全身に出てしまいましたが、様子を見ながら薬を調整、甲状腺機能は正常に戻り子供ももう一人授かることが出来ました。
定期検査をさぼらないで…
初めて診断されたころ(長女出産時)からの15年くらいの間は、子育てと仕事で毎日忙しくも充実した日常を送ることが出来ていました。
そもそも20歳になった頃に風邪をひいたのがきっかけとなり急に喘息を発症、併せてアトピー性皮膚炎にもなり体の背面は足から首まで常にひどい痒みで、我慢が出来ずに搔きむしってしまうので、まるで象の肌の様に皮膚が分厚くしわしわになってしまっていました。その名残がいまだに皮膚の色素沈着として残っています。
甲状腺の治療薬を飲まなくなっても、定期的に血液検査を受けるように言われていたのですが、あっという間に過ぎてしまう毎日…自分の健康を優先することが当時の私にはとても難しいことでした。
そうこうしながら40代となった私は、仕事の責任もどんどん重いものになっていました。責任のある仕事ができることはとてもやりがいがあり、充実感を味わうことが出来ていましたが、しかしながら…自分の身体から出ているS.О.Sに気が付くのが遅れ、限界を超えてしまったのです。
最初に自分の異変を「おかしいぞ」と感じたのが、人前で話をしようとすると心臓がドキドキして手に汗をかくというものでした。
仕事柄人前で話をするのは特別なことではなく、緊張することは滅多にありません。それが朝礼であいさつするだけでドキドキが止まらないのです。
それからはもう次から次へと様々な症状が出てくるようになりました。
二階への階段も一気に上がることが出来ない、不整脈が頻発し、眼球が乾いて痛い…ひどいドライアイ状態。
以前にも経験のあった症状から、自己判断でも甲状腺異常が再発したんだな~とわかりました。市内ではとても有名な甲状腺専門病院を予約し受診しました。
予想通り診断結果は【甲状腺機能亢進症(バセドー病)】でした。先ずは投薬治療です。以前も服用していたメルカゾール錠を飲み様子を見ることになりましたが、今回は上手く行かず…薬の効果が出る前に身体からアレルギー反応が出してしまいました。発熱と共に身体の内側(粘膜)に発疹が出て水を飲みこむのも困難になってしまったのです。
当然「薬を変えましょう」となる訳ですが、もう一つの薬には心配な副作用がありました。長期間飲むと劇症型肝炎発症リスクが非常に高いのです。それを心配してか先生は「外科的手術で甲状腺を切除するか、放射性ヨード内用療法の選択するか考えてください。」と説明してくださいました。
一刻も早く楽になりたかった…
先生ならどの治療を選びますか?と聞く私に先生は、「妊娠の予定はありますか?」と質問され「ありません」と即答する私。
先生は「それなら放射性ヨードかなぁ」と言いながら小冊子をくださいました。
肝臓がんで母を亡くしている私は劇症型肝炎になる治療薬を飲むというのは選択肢からは消えていましたので、外科的手術か放射性ヨードかで悩んでいました。
切るのは怖い…かといって放射性ヨードを体内に入れるというのも将来の発がんの可能性に繋がるのではないかという恐怖があったのです。
放射性ヨード内用療法とは、体内に吸収された放射性ヨウ素の60%以上が甲状腺細胞に取り込まれるという性質を利用した治療法です。 甲状腺に集まった放射性ヨウ素は放射線を発し、甲状腺ホルモンをつくる細胞を徐々に破壊していきます。 バセドウ病では甲状腺ホルモンをつくる細胞が少なくなり甲状腺の働きが正常になっていくのだそうです。
次の受診時に先生にそのことを伝えたところ、「アメリカでは何十年も前からある治療法だからその心配はないよ」の返答がありましたので、それを信じて私はその場で放射性ヨード内用療法を選択しました。
その頃の私は、ベットから起き上がるのも一苦労で、病院へ向かう車も自分で運転することが難しい状況になっており、何でも良いから一日でも早く楽になりたい一心…でした。
やってしまった後悔
治療は、カプセルを飲むだけなので痛くもないし、身体に負担になることは何にもないです。ただ隔離が必要なので仕事は最低数日は休む必要があります。
それと、退院後に自宅隔離の時に使用した、食器や衣類、寝具などはビニール袋に入れて処分する必要があります。
なにせ放射性ヨードを服用するので、飲んだ自分自身の身体が放射能を出している状態になるんだそうです。
服用する薬の量により、破壊される甲状腺の機能が決まりホルモンの量も減少するのですが、私は治療薬にアレルギー反応が出るため、確実に機能を破壊する必要がありました。
現在の私は、治療の効果(甲状腺機能の破壊)が出ていますので、甲状腺ホルモンは体内では生産されないので、甲状腺ホルモンはホルモン剤で補給しております。ホルモン剤は薬価も安いですし、副作用の心配もないのですが、一度だけ想定外のことが起こりました。
それは東日本大震災の後のこと、ホルモン剤を作っていた工場が被災し薬を製造できなくなったとのことでした。
医師の話では、「薬価が安いので新たにこの薬を製造しようとする工場はないんだよ。もうすぐ海外から薬が行ってくるから少し我慢してね。」と言われ…あ~ぁ、こういう不測の事態が起きると厳しい状況になるんだなぁ…と思い知らされたのです。今更遅いのですが、深く考えることなく治療を受けてしまったことを心から後悔した瞬間でした。
人間の身体ほど精密に設計された物体はないでしょう。一つとして不要な機能(臓器)はないのです。どうか私と同じように選択する状況にある方には、今一度熟考することを心からお勧めします。
選択肢はたくさんあるよ
どんな病名を告げられてもお医者さんの言うこと全てを受け入れるのではなく、治療法などはしっかりと自分で調べてください。今は医療関係者に知り合いがいなくても、多くの情報を収集することが可能な時代です。あなたの身体は唯一無二の存在です。どうか適切な情報収集をしてください。情報弱者になってはいけません。そして、健康な方もどうか油断することなく日頃からバランスの良い食事や質の高い睡眠をどうしたら摂ることが出来るのかを考えて生活して欲しいです。
新たな感染症など治療法が確立されていないような病気にかからないためには、とにかく自分の細胞を元気にして自己免疫を高めていくしかないのです。
身体を正常に保つには、細胞が酸化したら還元することを常に意識するのはとても大切なことです♪